アサーティブ・トレーニング2
人間関係の3段階
-
3つのレベルの異なる意見
-
■人間はそれぞれ、意志を持っているからこそ一人一人が掛け替えのない
存在です。
ところで、意見が数多に存在する為に、対立をする事もしばしある でしょう。ここでは
「対立する関係を3つの段階」でとらえて、紹介します。
■ドミネーション(Domination)
抑圧です。互いに食い違う意見を持っている場合に、権力を持つ方が一方を
ねじ伏せてしまう事を指します。
■コンプロミス(Compromise)
妥協です。どちらかが一方の意見に、いやいやながらも従ってしまう事を指し
ます。
■インテグレーション(Integration)
統合です。両者、多数の意思を共に満たした上での望ましい結果を意味します。
-
対立する関係の例
冷房の効き過ぎる電車内では、立っている多くの人が
「冷えすぎるから窓を 開けたい」と考えます。しかし
窓を開けたら、顔をしかめたくなる様な熱気が 入ってくる
為に、窓側に座っている人は堪りません。
そんな時に、暴力団風の大男が、いきなり無断で窓を開けてしまったとします。
座っている人は力で抑え付けられた事になるので、ドミネーションの関係です。
あるいは、OL風の女性が「失礼」と言いながら、座っている人の背中側の窓を 開けてしまったと
すれば、いやいやながら熱気に耐える事になるので、これが コンプロミスです。
そんな状態を見ていたある人が、機転を利かせて窓の上の
方だけを開ければ という事に、気づきました。そうしたら立っている人は入ってくる熱気で冷房の
冷えが
中和されるし、座っている人ももろに熱気を感じずに済みます。つまり
対立する意見の中にも「お互いの幸福」が実現したのです。これが理想的な
人間関係であるインテグレーションです。
|
自分も相手も、よりよい状態に
|
-
-
「人を認めて、自分も満たされる事」
-
「両者によっていい道」が、結局は自分の希望を満たす事になります。
どんなに
相手が気に入らないからと言って、その相手を貶めたり、希望する意見を遮って
まで自我を押し通せば、それは「抑圧」になります。
せっかくなら理想を高く持って「お互いにとってよい道を探す事」これは企業や
学校の運営でも理想と言えるでしょう。
現代の高度情報化社会の中でワンマン 経営者が、ゴリ押しで自分のノウハウだけを
押し付けていくよりも、多くの優れた 意見が集って展開する方が、
成功確立が高いのは、言うまでもありません。
「お互いにとってよい道をとろう」
そう常に心がけて行動するだけで、おのずと相手に対する敵対心も失せ、その
気持ちは相手に「この人は、周囲を考えてくれるのだ」と伝わる様になるのです。
自分の望みをかなえる事と、全体にとってベストの道をとる事は、決して
両立が 困難な道ではありません。
(つづく)
|