虚偽性障害
嘘にしか希望を見出せない心
嘘の裏側で嘆く心 病気でなくては生きる資格が無いと考える

■「病気になると」と考えたら、どんな事が想像できるでしょう。「発熱で辛い」
でしょうか。或いは、「看病して貰えて嬉しい」でしょうか。世の中には、病気に
なりたがる人たちというものがいます。 それは、病気になりさえすれば看病して
貰えたり、心配して貰える
からです。 孤独感や不安を紛らわせる為に、病気で
あると嘘をつく。そんな症状を「虚偽性障害」といいます。

■これは、仮病の一種に見える 状態ですが程度が違います。 嘘をつかれると
つかれた側は疲労感や失望、怒りに 苛まれるものです。しかし、この場合嘘を
ついた側こそ最も苦しんで
いると言われます。 「病気を装う事で、辛うじて破綻
しそうな精神を抑えている」 為に、まさに命懸けで病気のふりをするのです。

「仮病?詐病?虚偽性?」

■嫌な事を回避する為に、例えば「今日は、頭が痛いから学校を休む」と嘘を
つく事は「仮病」です。これは誰もが持つ、ちょっとした怠惰心なので精神的な
問題 ではなく、虚偽性障害とは言いません。

■また、経済的利益を目的として、病気だと偽る事があります。保険金詐欺や
当たり屋行為が当て嵌まり、これは「詐病」といいます。反社会的な嘘をついて
いる ので人格障害を疑われますが、これも虚偽性障害ではありません。

■最後に、「世話して貰いたい」「かまって貰いたい」という精神的要求から 嘘を
つく
事、病気を捏造する症状を、「虚偽性障害」と言います。 例えば長期絶食に
よって痩せ、「がん患者」を装う、吐血に見せようと喉を傷つけて しまう。血管に
インシュリンや尿に砂糖を混ぜて「糖尿病患者」を装う。そんな命懸けでありと
あらゆる手段を以って
病気であると偽るのが特徴です。
内科疾患で緊急を要する患者さんが処置を急ぐかの様に、精神的破綻を回避
するのに 緊急で、「嘘」という処置を取るのです。

「ミュンヒハウゼン症」
虚偽性障害が重度になると、「病気と偽った自分」が当たり前になって生活する
様になります。 つまり、「私は重い病気であるのに、医者は見つけてくれない」と
医師の責任にして、病院を転々とする(ドクターショッピング)のです。
一度や二度は、捏造された検査 結果から処置をされますが、医者だって馬鹿
ではありません。 いずれ検査の 結果に矛盾が生じてくるのが判ります。そして
捏造の現場や手段を発見するのですが、 「どうだ、証拠を見つけてやったぞ」
という気持ちよりも「命を救おうとしたのに」 という 落胆の方が大きくなります。
この様に、周囲を引っ掻き回すだけ引っ掻き回す、悲しい嘘の病なのです。
救われぬ自由の神に… 嘘の背景と空回りする周囲

「嘘で保たれる自我に」
幼い頃に剥奪された愛情を必死で求める行為から嘘をつくと言われます。そして
嘘で一度、周囲が動揺するとそれが心地良く思えて繰り返してしまうのです。
この病がもたらすのは、徒労です。医師をはじめとする周囲の労力の浪費です。
患者本人の心理に焦点を充てれば同情の余地も生まれますが、人を騙すという
行為は決して許されるべき事ではありません。
ここで肝心なのは、医療スタッフとの辛抱強い治療と、やはり家族の愛の再確認
です。「嘘をつく行為」事態を本人に詰問すると、それで自我を保とうとして いた訳
ですから精神病を患う引き金となりかねません。
さてあなたは、本当の世界を生きているでしょうか。

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