病の根底にある心裡1ナルシシズム
自分しか愛せない?自分も愛せない。
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ナルシシズムに潜むもの
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■自分を愛するという事は、大切な事です。自分を憎んでいる人は他人の事も
憎むしかなく、言い換えれば「自分を愛せない人は他人を愛する事も
出来ない」 からです。さて、ナルシシズム(自己愛型)とは、
「自分しか愛せない」状態なの でしょうか。これは
少し違い、「愛せない自分を自分で賞賛するしかない」人です。
■自分を愛するのではない。つまり「自分を中心として物事を考える」自己中心
的な状態がナルシシズムであって「自分も他人も愛せない」のです。
そんな人は 「自分の体だけが唯一、知っている重要な現象」である為に、延々と鏡の前で
自分の身体を見つめては髪型や衣服を整えたりします。
また、例えば風邪を引いて
病院に
電話をする時も「自分はすぐに行けるから早く
診て欲しい」と
言い、もし医師が
「今は時間が取れないから午後に来て下さい」
と
言ったとしても理解しません。他人の現実と自分の現実が違う事を認識できずに
「自分が、医師に診て貰いたいという願望」「自分が病院に行くのに時間が
かからない
という事実」 つまり「自分の現実しか視野にない」からです。
これは、幼児が自分で何かして みせ
「すごいでしょ」と言ったり(自我自賛)、幼児が他人の都合を理解する事が 出来ないの
と同じで、その頃に外界を見る事が出来なかったのが原因とされます。
- 「何故、外界に関心を持てないのか」
■人間は、どうしたら普通に心や関心が外(周囲)へと向かうでしょうか。外界へ
関心を
持つには、
自分を信じる…つまり、自信を持つ事です。幼い頃から自分を
信じられなかった場合、つまり
親に信頼を貰えなかった場合は、外界を見るのを
恐れる様になります。
■幼児にとって、家族以外の初めての外界。「近所の友達へと関心を抱く」等の
勇気の要るステップで「親離れ・子離れ」が出来ていなかったり放任されていたら
果たしてどうでしょう。
「パパやママと一緒に遊びに行ったらいい」「誰彼とは、付き合っては駄目」
そんな風に自分を信頼して貰えず、「きっと皆と仲良くなれる」と励まされもせずに
育った子供は
「自由に自分で
感じ取る事」も、家の外で出るという「新たな経験に
対して勇
気付けられる事」も
ありません。 そんな子供に
対し、「関心を外へ向けろという方が無理」と言えるでしょう。そして
外へと関心を向ける勇気を与えられなかったまま成長してしまうのです。
■自己愛型とは、誰にでも多少はあります。例えば「私なんて駄目だから」という 自己否定も、
「駄目な自分に酔う」自己陶酔です。
逆に、自己愛型が顕著な人も
多少の他愛、対人愛を持っています。身近な区別の仕方は恋愛において自分の
気持ちの持ち方です。
「人に恋する自分と、自分を賞賛してくれる
他人がいるという優越感」で満たされた
気持ちになる。それが顕著だと自己愛型が強いと言えます。
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私は私、それでいい
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「何者かになろうとしていたけれど、私は私」
周囲に対して、そう宣言するだけでも自己愛型を克服する事に繋がります。自己 愛型は
「信じる事・愛する事が出来ない自分」を懸命に「完璧である」様に努めて
苦しみます。愛される様、過度の期待に沿おうとしたり自分が優れた存在である
という過度の幻想に浸る事だけが心の安定だからです。
しかし、「人の期待に応えられないからといって、自分は駄目な人間ではない」と
気づく事で「自分は自分である。それだけでいい」と感じ、「自分が自分であると
同時に、他人も他人である」事を学べば良いのです。
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