揺らぐ思秋期 (発達心理学7)
仕事に追われ、子供は巣立つ
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人生80年時代と言われる今日
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■乳幼児が発達して青年になるまでを書いてきたので、「大人」の視点を見て
みましょう。30代を過ぎ40代となると、人生の中間地点。
ターニングポイントと
なります。この頃には青年期と比べ、記憶力や視力の衰えがみえたり
体力の 低下に気づきます。
「青年期に抱いた夢が、どれほど実現できた
だろうか。自分に残された 時間は
もう半分くらいではないのか?」
そんな焦りを抱く事もあります。
■一方、家庭では子供たちが青年期を迎えて、自立していきます。
配偶者が
いるなら、同様に「今後の生き方」を模索しはじめます。この人生の中間
期を
「中年期」と呼びます。
家族が変わっていく時
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自分とともに家族全体の発達が見られるこの時期、心理的・肉体的な変化を
受け止める思春期と同じく心理的に大きな危機に見まわれます。
青年期に、
十分なアイデンティティを確立しなかった
場合は尚更、「自分はどう
生きるか」、再び考えなくてはなりません。
猶予期間の延長は問題を先送りに
しているに過ぎないとの説もあるのです。思春期に対して、青年期という夏を
越したこの、中年期を
別名「思秋期」
ともいいます。
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こんなはずじゃなかった…?
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■思秋期とは、大人になった事で社会や家族への責任感から「自分の全てを
犠牲にして」働いてきた人が
「自分は別の人生を歩めたのではないか?」
そんな思いに囚われる時期です。「今からでも遅くはない」と新たな希望を持つ
心と
「もう、遅いのだ」と不安に囚われる心。気持ちは揺れに揺れ動きます。
■中年期は、家族と共に自分自身に問い直して「今まで発達してきた自分」を
受け入れて、今後の人生の新たな意味を見出す大切な時期なのです。
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ひとこと「ペースは乱さない」
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前回「ゆっくり成長も考えもの」と書いたのですが中年期は「自分を確立する」
という事に、
焦りは禁物です。「蓄積された、経験や知識(結晶性知能)」という
青年期を過ぎなくては得られない強い武器があるのですから、何事にも焦らず
取り組んでみましょう。
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