解離性障害
虐待がもたらす人格の分裂
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心の傷をこれ以上、広げない為の防衛
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■私達が物事を体験する時には、「自分」が存在しますね。いろんな側面から
見ても自分が「過去にやった事がある」「はじめての体験である」そして、その
体験から、「自分が楽しかった」や「自分は失敗してしまった」等です。これから
紹介する「解離」とは、それらの「自分」という意識が無かったり、感じられない 状態の事を指します。
■空想にふける。何かに取り憑かれた様になる。怒りに我を忘れる。狂乱状態。
これらの事は誰でも、頻繁にとは言いませんが起こる日常的非病的な現象です。
この状態を解離状態といいますが、病的なまでに「意識、記憶、同一性」が喪失
してしまい、崩壊してしまう症状を
「解離性障害」と呼びます。
- 「何故、起こる?」
■解離障害が起こる原因は心的外傷後の重度の精神障害(PTSD)
です。つまり 「精神崩壊してしまう程のストレスから、身を守るために記憶や意識が解離する」
という訳です。心的外傷後ストレス障害を理解する鍵となるのが、解離性障害と 言われます。
■成人であっても、命の危険に長時間さらされたり、災害で大切な物を失ったりとPTSDを引き起こす原因は
多数存在しますが、特に幼児にとっては当然に受ける
はずの愛情の代わりに、虐待等のトラウマを抱える様に
なると、「ごく自然な防衛 反応」として解離習慣を身に着ける様になり、大人になっても「解離しやすい」
質を 残してしまいます。
「解離性健忘」
個人の重要な体験、個人情報を思い出す事が不可能になります。「私は誰なのか。
どこで過ごしていたか」は
判らなくなりますが、「日本人」「学校、お店、病院」等の
知識は年齢に応じて持ち合わせています。
また、外傷的体験は思い出せなくても、それを連想させる様な音、光、臭い等は
敏感に感じて不快感や恐怖心を抱きます。これは、外傷的体験を忘れ去ったでは
なく、意識下で生きているのです。
「解離性遁走(かいりせいとんそう)」
ある時、突然に職場や学校、家庭など日常生活の場から離れ彷徨います。
過去の 一部や全てを思い出す事が出来なくなります。
小説等の、架空の世界で登場する 「記憶喪失」とは、この状態をモチーフにされる事が
多い様です。
「解離性同一障害」
Dissociative Identity Disorderと訳されますが、1994のDSM-Wまでは多重人格性
障害やMPD(Multiple Personality Disorder)
と呼ばれていた症状です。一人の人の 中に数人〜数十人の、はっきりした同一性・人格が存在して
いる状態です。
- 「どう防ぐ事が出来るのか」
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悲しい思いをした時、それ疑問を感じたり苦痛の思った時に、それを打ち明けられる
環境にあったか、
打ち明けた時に、打ち明けられた相手が、被害者を責めず、優しく共感的に対応したかどうかが
後に後遺症を残すか否かに大きな影響を及ぼします。
「お前にも虐待される原因があったのではないか」等と傷ついた状態の人間の傷を
深める事は、虐待よりも深いトラウマを遺しかねません。周囲の対応が鍵となります。
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