ギャングエイジとジェンダー (発達心理学5)
集団の影響力と、性別という名の生き易さと葛藤
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同年代が集って
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■小学生頃から、家族より学校での集団行動が生活の中心になると友達の
数も増えていき、そんな周囲の言動が気になる年頃になります。中学年とも
なれば次第に「大人の権威は絶対」ではなく「友達・仲間の影響を受ける」
事になるのです。
■そんな小学校中学年〜中学に上がる頃までの3、4年を「ギャングエイジ」と 呼ぶ事があります。
幼児から小学校低学年までは、年齢や男女の関係もなく
入り混じって遊んでいたのに、この頃になれば
同性同年の子供たちが固定的 グループ(ギャング集団)を作るからです。
■同性・同年齢の仲間集団は、いつも一緒に何かをするという
「同調行動」を
通じて自分たちが1つの集団に所属しているという気持ち、
「帰属意識」を持ち
はじめます。
■やがて、この集団におけるルール(子供なりの掟、仲間内の合言葉など)が
発生したり、集団における
「ルールの必要性」や、集団内での役割分担から
「責任感」等、大人に
なってからの社会生活に必要な事を学んでいくのです。
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ギャングエイジの一長一短
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こうして社会に出るため重要な意味を持つギャングエイジですが、集団意識に
よって同調行動がいきすぎると、「掟」を守らないメンバーや、メンバー以外の
子供に対する「いじめ」が引き起こされる場合があります。
いじめは社会問題であり、子供の心に深い傷を負わせるのは、他の子がこの
集団性という
社会的発達のホームグラウンドを持っているのに対して、いじめを
受ける子供は、心理的な
拠り所を失って、言葉や暴力に対して為すすべない
状態に置かれる為です。
「一人を孤立させるより、仲間に入れてあげる」寛容さを学ばせたり、孤立 して
拠り所を失った子供を受け入れる環境作りを心がけたいものです。
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私は女であり僕は男である…
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■同性・同年齢という固定的集団が出来るきっかけである、「性」というものが
人間
にはあります。
例えば「男の子は活発で少々、乱暴なところがある」や
「女の子は穏やかで優しいものである」という、性別による固定概念です。
こうした、「女らしさ」「男らしさ」の暗黙基準が存在し、それに基づき性別特有の
期待や
パターン化された捉え方が社会では、なされています。
■心理学では、生物学的な意味の「性」(生まれついた性別)を「セックス(sex)」
文化に
形成される「性」(社会文化で期待される性別)を「ジェンダー(gender)」と
概念的に分けて呼びます。
■ジェンダーは生まれた頃より既に成され、女児にピンク、男児にブルーの服を
着せたり、
与える遊具も女児には人形を、男児には車の玩具となったりします。
社会や文化からの期待が、大人の躾にそのまま影響し、泣いている男児には
「泣くな」と
叱るのに、女児ならば「どうしたの?」と慰めたりします。
こうして、大人たちは日常的な行動を通じて無意識に「文化が期待する役割」を
子供たちに与え続けている事になります。
「人形で遊ぶのは、別の集団だ」「車で遊ぶのは、私たちの仲間じゃない」
文化に期待される性別から、必然的に「同性同士で遊ぶ」事が主流となるのです。
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まとめ「性別らしさではなく」
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ジェンダーによる役割(ジェンダー・ロール)は
確かに社会で必要です。一説に
よると、「男性は生まれつき優しいから強くなる様に」「女性は生まれつき
強い から
優しくなる様に」、生まれ持った素質と「反対の性質を補う様に教育」される
のではないかと言われる程です。
しかし、そこで葛藤を生じる場合(性同一性障害など)も取りざたされる
事により
ジェンダーの真意が問われる様になりました。性別による「男らしさ」「女らしさ」
だけではなく、一個人として見た「その人らしさ」
こそ、人間が人間らしく生きて いく上で尊重されるべきだと、私は考えます。
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