青年期のアイデンティティ (発達心理学6)
社会を理論的に見る姿勢と自分らしさ
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猶予段階
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■小学校高学年ともなると、ホルモンの影響で身体に急激な変化が見られ
ます。
この頃を思春期と呼び、変化には個人差が大きい為に
「自分と他人の 違い」に
戸惑い、また、関心が自分にも向きはじめる時期です。
■同性・同年齢の集団を作る等、「みんなと同じ」である事が拠り所であった
のに、「みんなと違う」事を知り「果たしてこれは本当に自分なのだろうか?」
などと疑問を抱く事になりますが、これは成長、そして発達する過程で、ごく 自然な事なのです。
■そんな変化の思春期を過ごし、子供から大人へと成長する過渡を
「青年期」
と呼びます。思春期ともなれば子供らしい抽象的な思考だけではなく、社会や
自分自身、自分と社会との
関係を
理論的に考えられる様になってきます。
すると、親をはじめ大人を客観的に見始めて批判したり理屈をこねたりします。
これが「第二反抗期」と呼ばれるものです。
Who am I? 自分とは何か?
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乳幼児の頃からこれまで、躾やジェンダーなど、無意識に周囲の期待を受け
入れてきた「自分という人間」を見つめ直し、考える。青年期は、そんな時期
でも
あるのです。
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私は今、こう生きている。そして私は…
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■青年期は、ギャング・エイジの延長のまま
同性・同年齢の友達と関係を持ち
ながら、自己の精神的バランスを取っていきますが、大人(主に親)とぶつかり
ながら
、徐々に親元から自立していきます。
他でもない「自分らしさ」(アイデンティティ・自我同一性)を確立する為です。
「自分とは何者か」
に対する、自分なりの「答え」を見つける時期。或いは
「私は今、この様に生きている。これからは、こうやって生きていくだろう」
そんな実感と、自己意識の確立する青年期。大人としての責任と義務に
束縛を
される事なく自由に可能性を試す事が出来る、この時期を「モラトリアム期間」と
呼び、思い切り周囲の世界を廻り見て、挫折と達成感を味わって欲しいものです。
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ひとこと「幼く見える日本人」
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日本ではモラトリアムが長く、
「ゆっくりと時間をかけて大人になっていけばいい」
という考えが定着しつつあります。
しかし、その為に高度学歴社会では「学校の
勉強は出来ても、社会的な勉強は出来ない」つまり「精神的自立
が出来ない」 人が
増えているのも現状です。諸国の青年が18歳頃に学び終える「自立心」を 日本人が
培うのは、凡そ25歳以降。7歳も遅れを取っています。 日本人が幼く見えてしまうのは、肉体的に小柄なだけでは
無いかも知れません。
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