老年期の発達 (発達心理学8)
再び、周囲の関係が重要視される時期
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引退や死別、失うものが多い時期
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■人間は、生まれた時から家族という周囲の人間関係があってこそ「
発達に
必要な
身体的・精神的サポートを得る」事ができます。発達・成長を重ねて
やがて老年期を迎えた時。身体や心理的な機能が衰えてくると共に、再び
周囲からのサポートを必要とします。
■心理学の研究が進み、老年期にある人にとって大切な支え「ソーシャル・ サポート」が
重要視される
様になりました。つまり、家族や仲間をはじめ多くの
人の支えが、極めて有意義であるという事です。
良いソーシャル・サポートが
築かれていれば、健康状態に良い影響をも与えうると近年、明るみになった
事も補足します。裏返せば、老年期に不十分なサポートのネットワークでは
死亡率も高いのです。
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喪失感の伴うライフイベント
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加齢につれて、様々なライフイベントが重なって
いきます。子供の結婚、自分
自身の退職や引退。親しい友達や配偶者の死別。多くは心理的「喪失感」を
伴うものです。
「これまでの人生の意味を満たしていたものが突然、永久に失われる」
というダメージは、
生きる意味をも失う事に近いものでしょう。
そんな老年期に
「自分の生きてきた事、今も生きている事などを肯定して喜んでくれる
存在」は
生きる意味を満たし、意欲を与えるものであるでしょう。
周囲の人間は、これ程 有意義なネットワークなのです。
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役割を持って選択する生活
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■老年期となれば、青年期、中年期に比べて身体的・肉体的な衰えは
見られ
ます。しかし、「知能も衰えていく」というのは誤りだと近年、判ってきました。
人には結晶性知能という「これまで蓄積された経験と知識に結びつく
能力」が
備わっている為です。これは「新しい事を学習したり、作業の速度を要求される
能力」である流動性知能と二分されて「知能」と呼びます。
■流動性知能とは、子供の頃をピークとして緩やかに衰えていくものですが
結晶性知能は年老いて尚、伸び続ける可能性があるのです。
高齢者にとって
この「生涯、発達していく知能」を活かす事は大切で、発揮する
には意欲が あれば良いのです。
- まとめ「役割と責任」
- 老年期に、この「知恵」とも呼べる知能を発達させるには、
日常生活で
「自分
自身で選択する」という機会を多く設けると効果的です。動物や植物の世話
子供たちに
知恵を授ける事、そんな役割と責任を持って貰う事も生きる意欲 向上に繋がり
ます。
例え高齢になっても、社会的に排除される事なく「自己
決定と人の役に立つ
機会」が
あれば「人間が人間らしい心」で人生の最後
まで、発達を遂げられると確信しています。
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